占いは昔から世界中の国にもあるもので、人々の生活に深く根付いています。
かつては権力者の傍には占い師がいて、政治や軍略に大きな影響を与えてきましたが、現代では正月のおみくじから毎朝のテレビや雑誌で垂れ流される星座占いに至るまで、一般庶民のためのものとして溢れかえっています。
大多数の人は深刻に信じることもなく、かといってムキに否定するほどのこともなく、適度に楽しんでいるように思いますが、なかには自分を見失ってしまうほど占いにのめり込んでしまう人もいます。
今回は、なぜ人は占いを信じてしまうのか?、「占いを信じてしまう人の心理とハマりやすい人の特徴」についてご紹介します。
人はなぜ占いを気にするのか?
女性に限らず、男性でもその日の運勢を気にする人は多いものです。
しかし、人はなぜ占いのことがそんなに気になってしまうのでしょうか?
それは、「人間だけが未来を考えられる生き物だから」であると、ハーバード大学の社会心理学者、ダニエル・ギルバートは言っています。
考えられるだけに、未来が不安になる。だからなにがしかの指針を示してくれそうな占いが気になってしまうのでしょう。
また、別の心理学者は、「人が常に自分のアイデンティティを探し求めている生き物だから」だともいいます。
「私は何者なのか?」「私は何のために生きているのか?」と日々自問自答していても、その答えは見つかるものではありません。
その答えらしきものをいとも簡単に出してくれるのが「占い」。だから、つい気になってみてしまうのだというのです。
占いで利用される心理学的な手法
占いには、人の心を巧みに操る心理学的なテクニックが用いられることが多々あります。
そうした心理学的な手法について紹介します。
バーナム効果・二面性提示
よくある手口として、大勢の人に当てはまることを言ってまず当たると信じ込ませるというものがあります。
バーナム効果といわれる心理学的な手法です。
バーナム効果とは、”誰にでも当てはまるような一般的な文章を読んで、自分に当てはまっていると思い込んでしまう心理学の現象”のことをいいます。
例えば、以下のような文章です。
あなたは負けず嫌いですが、その反面、些細なことで弱気になって思い悩んでしまう人でもあります。また、自分を不器用な人間だと思っていて、人から好かれたい気持ちがあっても、それを上手く表現できないことがあります。それだけに、人間関係が原因で、恋愛にしても仕事にしても、トラブルを抱えてしまうことになりがちです。
また、この文章には、二面性提示という心理テクニックも用いられています。
二面性提示とは、相反する二つの面を同時に指摘するという方法です。
「負けず嫌い」と「弱気」という相反する二つの側面を指摘しているのです。
人は一面だけを指摘されるより、二面的に言われた方が当たっていると思いがちなのです。
ステレオタイプ
心理学でステレオタイプという言葉があります。いわゆる「思い込み(固定観念)」です。
一度、固定観念が形成されると、その考え方が定着してしまい、なかなか離れなくなってしまうというものです。
仮に、その固定観念に反することが起こって固定観念に疑問を抱くことがあったとしても、その後、また合致することが起こると、「やっぱり自分の考え方(固定観念)は正しかった!」と改めて思います。
先程起こった反例は「例外」として処理され、固定観念が維持・強化されるのです。
「占い」に関しても、それと同様に「思い込み」の心理が働きます。
人は一度占いを信じてしまうと、その後も信じやすくなってしまうものです。
たくさん占いをしていれば、一定の確率で当たることは不思議ではありません。
しかも、もともと占いを信じたくて占いに接する人達にとっては、前述の「思い込み」の心理も手伝って、当たったものだけを強く記憶します。
そして、当たったという人の評価の方が強調されることで当たる占い師という評判ができていくのです。
また、商売気の強い占い師は、その占いを的中させた実績をメディアを通して多くの人に認識させるなどすることで、「あの占い師は当たる!」という評判を強化していきます。
占いにハマりやすい人の特徴
ここからは、占いを信じやすく、のめり込んでしまう人に見られる特徴を紹介していきます。
あてはまる特徴が多い人は、占いにハマって自分を見失ってしまわないように注意しましょう。
①優柔不断
占いを信じやすい人は「自分で何かを決めるのが苦手な人」が多いです。
優柔不断な人は、色々な選択肢があると、どれが最善なのか決められずに迷ってしまいます。また、自分で下した決断に対しても、本当にあれで良かったのだろうか?と繰り返し自問しては不安になってしまいがちです。
決められずに悩む苦しみから逃げるために「誰か(何か)に決めて欲しい」という深層心理が働いているのです。
②論理的に考えることが苦手
優柔不断な人に多いのですが、占いを信じやすい人は「論理的に考えることが苦手」という特徴があります。
複数の選択肢がある時に、そもそも自分が得たいものは何か?といった、判断の目的や基準を見失ってしまうことが多々あります。
例えば、「損得の判断をしている」と分かっていれば、それぞれの選択肢にはどのような損や得があって、自分はどれを重視しているのか(どれを諦められるのか)といったことを整理できれば、客観的な判断ができるはずです。
それとは反対に、損得とは切り離したところで「自分の気持ちを納得させる」ことが目的であれば、自分の気持ちを優先して決めれば、例え失敗しても後悔することはないはずです。
このように情報を整理してあげると「凄い!あなた占い師みたい!」と喜んでくれる場合があります。
そういう人は、自分でも気づいていませんが、論理的に考えることが苦手なので、他人に話を整理してもらったり、他人に話すことで自分の頭を整理したり気持ちを確かめたりするために占い師に相談するといった特徴があります。
③創造性が豊か・ロマンチスト
占いを信じない人の場合、例えば星座占いなら「世界に12タイプの人しかいない訳がない。何故なら…」と、論理的に占いの非論理性を指摘することでしょう。
しかし、占いを信じる人は、そのような理屈は分かった上で、「そんな当たり前のことはツマラナイ」と考えます。
世の中には、科学では証明できていないことはあるし、また、そうあって欲しいという願望を持っています。
そういった意味で、「創造性が豊か」「ロマンチスト」ということができるでしょう。
「理論」よりも「感性」を重視し、直感に従って生きていたいので、敢えて「非科学的な」占いを信じたいという気持ちが働いています。
信じたいという願望がありますので、一つでも占いが当たったら、信じる気持ちが自己強化されることになります。
それが反復強化された結果、「信じたい(願望)」だったものが、いつの間にか「信じている(確信)」にまで至っている人も少なくありません。
④他人に影響されやすい
「他人の言うことが気になって仕方がない人」というのも、占いを信じやすい人の特徴です。
他人との調和を重んじる文化がある日本人は、他人の行動に影響されやすい人種であることは明らかなので、ある程度は仕方ないことかもしれません。
しかし、その中でも占いを信じやすい人は特に他人に影響されやすいタイプに該当します。
そのため、一定の根拠(手法)に基づいてズバリと言いきる占い師の言うことを聞いてみたいという願望が強くなりがちです。
⑤自分に自信がない
自分に自信がないと考え方がネガティブになってしまいがちです。また、恋愛や仕事においても消極的になってしまいがちです。
また、自信がないと何か大きな決断をするときに迷ってしまいますよね。
また、自身がない人は同時に「芯」がない傾向にあります。
自分が「どうしたい」という気持ちよりも、「どうすれば上手くいくか(失敗しないか)」「(世の中的には)どうするべきなのか」といった視点で物事を決めようとしてしまうのです。
そうして、無意識のうちに、占い(師)のような他人に決めてもらうことで自分の判断で失敗や後悔をして余計に傷つくことを回避しようとします。
占いとの賢い付き合い方
ここからは、占いで失敗しないようにするために賢い占いの使い方を3つご紹介します。
①相談相手として占い師を利用する
我々が抱える悩みは主に恋愛、仕事、人間関係に関することが多いのですが、これらの相談相手として占い師を活用するという方法があります。
自分の周りにこれらの悩み事を相談できるような信頼できる人がいれば良いのですが、なかなかいないものですよね。
仮にいたとしても、自分の抱える悩みをその人の打ち明けられるかどうか、というのも悩みどころです。
そこで悩みを相談できる第三者として、占い師という選択があります。
たくさんの人の悩みに接し、助言をした後の結果までを目にしてきているので、目の肥えた相談役とも言うことができます。
また、占い師は完全な第三者であり、ともすれば先入観を持った自分の親しい人とは異なる立場から意見をくれます。場合によってはもう二度と会うことのない人物なので、親しい人には言いにくいことも打ち明けられることでしょう。
また悩みが解決できるかどうかは別としても、自分の悩みを一人で抱えずに済む、という利点もあります。誰かに話すことで楽になることだってありますよね。
さらに占い師との対話は、自分を冷静に見つめ直すいい機会にもなります。
自己分析のためのツールとして占いを活用してみましょう。
自己分析のために活用するという意識があれば、占い師と対話していく中で、自分の悩みのポイントはどこなのか?改善の余地はあるのか?自分は本当はどうしたいのか?といったことを意識的に見つけていくことができるはずです。
自分をよく知るということも、悩みの解決に役立つはずです。
しかしこの相談相手として占い師を活用するという方法について、一つだけ注意してほしいことがあります。
それは、占い師は有名で実績のある人を選ぶということです。
自分の悩みを無名のよく知らない占い師に相談してしまっては、いい加減なアドバイスをされたり、弱みにつけ込まれて騙されてしまうといった危険があります。
それに、なんの実績もないよくわからない人のアドバイスには説得力がありませんよね。
その点、有名な占い師は数多くの実績を持ち、色々な人の悩みを解決しているため悩みの相談相手としてはもってこいです。説得力も充分です。
もちろん有名なだけで選ぶのではなく、口コミなども調べてその占い師が自分の悩みを相談するに足る人物か、じっくりと吟味してください。
経験豊富な占い師のアドバイスと占いの結果があれば、悩みを解決するなんらかの糸口が見えるのではないでしょうか?
②天気予報程度に信じる
多くの占い師が提唱する正しい占いの使い方として、ただの天気予報ぐらいに信じておくというものがあります。
天気予報と言っても精度が極めて高いものもありますが、ここでは軽く信じる程度にしておけ、という意味です。
占いを信じ込んで、その結果に左右されて行動してしまうというのは危険な状態です。誰が見ても占いに依存してしまっていることは明らかでしょう。
良い結果が出たら、「良いことありそうだな」悪い結果が出たら、「少し気をつけておこう」というように、天気予報程度に軽く受け止めておくのが賢いと言えるでしょう。
こうしておけば、良い結果が出たらいい気分になれるし、悪い結果が出てもむしろ気を引き締めることができるので、どちらにせよ自分のためになります。
占いをしたところで、最後は自分次第といったことは誰もが耳にしたことがあると思います。
このように占いによって自分の行動を左右されるのではなく、あくまで天気予報と割り切って自分本位で行動するようにしましょう。
③モチベーションを高めるために利用する
占いを信じる人の大きな特徴として、自分に自信がないというものがある、ということを先述しました。
そこで自分に自信をつけるための、物事を頑張るためのモチベーションとして占いを活用してみてはいかがでしょうか?
まず自分に自信をつけるための方法の一つとして、何か頑張った実績を作るというものがあります。
実績というものは、仕事でも趣味でもなんでも良いと思います。何か頑張ってやり遂げれば、自信に繋がります。
そこで、頑張るためのモチベーションとして占いを活用してみましょう。
自分に自信がない人は、裏を返せば「他の人の意見をちゃんと聞くことができる」という良い特徴があるとも言えます。
評判の良い占い師に今後のアドバイスを貰いに行ってみましょう。
占いでいつ良いことが起こるか、また努力の方向性が正しいかなどを教えてもらえれば、それが頑張るモチベーションになります。
そうして何かやり遂げることができれば、自分はこんなことをやり遂げたんだ!というように、きっと自信につながると思います。
このように、自分の頑張るべき方向がわかっている、それに向けて自信を持って努力できるということは人生において大きなアドバンテージとなります。
これこそ、占いを信じる人のメリットと言えるでしょう。
占いを信じてしまう心理とハマりやすい人の特徴|まとめ
いかがでしたか?
占いを信じてしまう心理とハマりやすい人の特徴、そして占いとの賢い付き合い方について紹介してきました。
この記事を通して皆さんに伝えたい最も重要なことは、占いを鼻から否定するということではなく、適度な距離感を持って正しく活用するということです。
他力本願で占いに頼るのではなく、自分自身が行動を起こすためのツールとして占いを活用するのが一番正しく、賢い使い方なのではないでしょうか?
みなさんのより良い未来のために、この記事が役立てば幸いです。